インタビュー#1 インドの魅力とは

インドの魅力とは-インド工科大学グワハティ校との連携を考える-

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海老原 今日はありがとうございます。最初に先生の現在のお仕事についてお聞かせください。

柴 田 基本的に私が今興味があるのは、やはり今までやってきたバイオテクノロジーや農業というものをベースにして、それを使ってエネルギーの問題あるいはその人類が抱えているような経済の問題について主に取り組んでいきたいなと考えています。

海老原 本学はインド工科大学グワハティ校(IITG)とマレーシア国民大学(UKM)との間で共同学位プログラムいわゆるジョイント・ディグリープログラムを平成31年度から開始する予定です。IITGとは食品科学技術分野の修士と博士課程、機械工学分野の博士課程を開設、UKMとは材料化学工学分野での博士課程を開設する予定です。ジョイント・ディグリープログラムというのは、本学と連携大学とが互いの強みとなる分野を活かして、修士号や博士号を持つ人材を育成する共同専攻です。
先だって2月に本学とIITGは共同で二国間交流セミナー「北東インドにおける生物資源利用における将来構想」を開催しました。IITGで実施したセミナーに先生にもご出席いただき、ご講演いただきました。インド工科大学グワハティ校に実際に行かれて、かつ、このセミナーを通して、北東インド地域やIITGについて、先生はどのような印象をお持ちでしょうか。

柴 田 そうですね、私も今回初めてインドに伺ったわけですけれど、インド工科大学はやはりかなりレベルの高い大学だという印象があります。もちろんインドの経済というのは、まだ日本のような先進国並みというわけではないですけれど、大変活気があるといいますか、今後の経済が発展していく期待感があります。インド工科大学の優秀な学生さんや、もちろん大学の先生も含めて、今後、産業をサポートしていくのだろうなという印象を受けました。
グワハティ校しか私は見てないわけですけれど、やはりあの地域(北東インド)というのは、生物資源がかなり多いという印象を受けました。また、(IITGで)何人かの先生方にお会いしましたが、その中で、例えばバイオ分解性のプラスチックの研究だとか、あるいは(現地の)生物資源を使った分解可能なお皿の研究といった"消費材"を作っておられ、やはり(インドでも)今後の世界が目指すべき持続可能な社会というものを考え、またそのポテンシャルがかなり高いと感じました。

海老原 先生は、日本バイオインダストリー協会にも深く関わっておられて、日本の産業界とも繋がりがあるかと思いますが、実際に日本の産業界から見てインドというのはどのような魅力があるでしょうか。

柴 田 お付き合いのある会社(バイオ関係や食品関係等)が限られているので、日本全体の産業から見たという意味ではないですが、私が知っているような食品系の感覚でいきますと、今後、やはりインドというのは大きな市場になってくるということは間違いないので、そこを上手く日本とインドの間で、両者にメリットのある形で(ビジネスをしていく)というのは、十分考えられるのかなと思います。

海老原 例えば柴田先生がインドに行って、新しい事業を起こしてみよう!なんて考えた場合、どんなストーリーがありそうですか。

柴 田 色々なことが考えられるとは思います。食品で言えば、日本とは違う食品というのがいっぱいあるわけですから、インドで加工したものを日本に持ってくるとか...そういう可能性は十分あり得ると思いますね。

海老原 最後に、IITGとの間でのジョイント・ディグリープログラムを受けて学位を取得した卒業生というのは、どのように活躍してもらえたらいいか、期待感みたいなものを教えていただけますか。

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柴 田 岐阜大学の学生さんにとって、やはり今後インドというものが、また、その(様々な)市場が、明らかに大きな市場になっていくわけですね。(プログラム)初期の段階ではかなり難しいとしても、やはりこの種の(教育の)話(の魅力的な点)というのは、"人脈"だと思いますね。そういうもの(人脈)を通してインド工科大という優秀な学生さんが多い所にいるということは、将来的には、インド全体の中で、企業や、もちろん官庁も含めて、"指導者"になる方を輩出していく大学ということは間違いないので、そういう方々と交わっているということは、かなり重要だと思います。また、文化が(日本と)大きく違うので、その大きく違ったところを、"自分が生活して経験していく"ということというのはやはり大切で、外から見ているのではなくて自分が生活して学んでいくということの価値というのは、かなり大きいと思いますね。

海老原 実際にジョイント・ディグリープログラムでは、岐阜大学の学生さんはインドに留学をして、向こうでインドの先生とあるいはインドの学生さんと一緒に、研究をしたり講義を受けたりするのですが、やはりそれは凄く大きな経験になると思いますか。

柴 田 だと思いますね。もちろん(プログラムは)英語でやられると思いますし、やはり日本にいるだけでは見えてこない、"世界に出て仕事をする"という基本的な考え方が身についてくるので、学生の時にこのような経験をするということは極めて大きい(差になる)と思いますね。

海老原 逆に、インドの学生さんに対してはどうでしょうか。

柴 田 インドの学生さんもですね、やはり日本に来て、岐阜大学の中で生活して、日本の文化を含めて学んでいくわけですね。日本というのはグローバル化している...と言っても、なかなか(開けているとは言い難く)、日本人的考え方というのですか、そういうものをインド工科大学の学生さんが知っておくことは、将来、日本とビジネスをする際や、新しい産業を起こしていく中で、かなり重要なポイントになってくるかと思います。グローバル化と言っても、その中には当然"文化"があるわけですので、それをお互いがどう理解するかということが、最初のポイントだと思います。こういう形のプログラムがあるということが、(異文化理解を深めるという点でも)大変重要であり、(それゆえ)大事なプログラムだと思います。

海老原 本日はお時間をいただきありがとうございました。

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